精神神経科の室津です。
このたび9月20日から22日まで石巻赤十字病院で精神科診療支援活動をしてきました。

精神科診療支援1


3月11日に発生した東日本大震災。
唯一被害を免れた石巻赤十字病院では、当初の救命を中心とした災害時急性期医療から、徐々に心身両面の治療管理を必要とする医療に移行したため、精神科のない同院に対し、4月7日から全国の赤十字病院精神科医が派遣されることになり、現在まで精神科診療支援を継続しています。

石巻赤十字病院にはいまだに大勢の患者さんが受診され、職員は笑顔で懸命に仕事されていました。
救急外来の受診者も多く、徐々に年配の方が増えているとのことでした。
震災から半年が経過したものの、家・家族・仕事など生活基盤を失い、将来への希望・展望が見いだせない状況が背景にあるのかもしれません。
入院患者さんにおいても間接的ながらさまざまな震災の影響が垣間見え、特に高齢者に対するきめ細やかな配慮が必要と感じられました。

精神科診療支援3


災害医療の初期は「救命」を目的とした急性期医療が中心となりますが、その後の地域医療の復活がなければ患者さんは行き場を失います。
さらに、急性期の過緊張状態から慢性期に移行すると、現実を前に虚脱感・喪失感・絶望感に襲われ、さまざまなストレス性障害やうつ病などの精神変調をきたすことが多く、最悪の場合は「自殺」に至るおそれがあり、精神科医療の提供が重要となります。

また、大災害では被災者のために医療・消防・警察・行政職員など高い使命感により懸命に援助を行いますが、精神的ケアが必要となる場合もあり注意が必要です。
「援助者も被災者」なのです。

震災から半年が経過し、仙台駅前は都会の華やかさを取り戻し、石巻でも海辺の津波被害がひどい場所を除けば外見上は日常を取り戻しているように見えます。
石巻においても津波の被害を受けた人とそうでない人の「明と暗」があり、震災直後はすべてのものがバタバタ動いていましたが、徐々に落ち着きを取り戻し静かになると「明と暗」のコントラストが鮮明となり、徐々に「明」が「暗」を覆い隠してしまうように見えます。
震災直後に沸き起こった日本中の支援・連帯の熱気は徐々に日常にかき消され、「忘民」という言葉が登場するようになりました。

精神科診療支援2


「深い心の闇を背負う人」に対し心に寄り添う精神医療の必要性と「災害医療における精神医療の果たすべき役割」を改めて強く感じることができました。
短い間でしたが今回の精神科診療支援が少しでもお役に立てたのなら幸いです。


最後に、石巻赤十字病院の皆様にエールを送るとともに、被災された皆様の一日も早い復興を祈ります。

2011.10.07 Fri l 赤十字の活動 l top